性暴力のない未来へ共に歩いていけたら
竹森茂子 (DAYA演出)
2020年11月11日
多くの性被害当事者は、長いあいだ性被害を語らずに考えずに過ごしてきた。私もその一人。役者として生きる私にとって、演劇表現が私を解放する術だと思っていたが、その世界もセクシャルハラスメントに満ちていた。70年代にはウーマンリブにも出会ったが、当時、フェミニズムは理論を構築するのに忙しく、性暴力について聴く力もなく、当事者として語る言葉を持つことはできなかった。そうして長い年月を経た2020年現在、少しずつ当事者たちが語り始め、その声に社会が耳を傾け始めた。
私がスタッフとして活動に携わっている一般社団法人Springは、性被害の当事者等を中心に活動するアドボカシー団体です。性犯罪刑法の改正を目指して2017年に設立され、2020年3月には代表の山本潤さんが検討委員会の委員に選ばれました。その流れをつくったのは、途切れないロビイング活動や、フラワーデモなどの世論の後押しがあったからです。
「性暴力をなくそう」と立ち上がった多くの人々への尊敬と感謝を込めて、エンパワーすることが、“Paz-Hare-La 2020”公演に向けて DAYA を立ち上げた私の想いです。
Paz-Hare-Laについて
2007年、コロンビアで開催された国際女性演劇フェスティバルでPasarela(ランウェイ)に出会い衝撃を受けた私は、Pasarelaを日本で上演する許可を願い出ました。すると、コロンビア演劇の演出家パトリシア・アリサは快く許可を出してくれて、「どこでも、いつでも、誰でもが当事者が語りランウェイしエンパワーする権利がある」と私たちを抱きしめてくれました。
Paz-Hare-Laは当事者はもちろん、制作に携わるすべての人をエンパワーする最高の作品であると信じます。
(現在、Pasarelaは発音が同じPaz-Hare-Laという表記に代わり、「平和を自分が築く」という意味が加わっています。)
性暴力のない未来に向けて共に歩きましょう!